羊田六色のブログ

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我が友、スミスを読んで

「我が友、スミス」(石田夏穂)を読んだ。めっちゃ好きになった。

 僕はレビューなんてできるタイプじゃないので、内容が気になったら買って読んで。もし、読んでレビューを書いたなら僕はそれが読みたい。

 本文中に使われている言葉で気になるのが2つあった。「私にとり」と「とは言え」だ。

「私にとり」という言葉を僕は知らなかった。どうやら「私にとって」の文語体らしい。多用されているわけではないが、知らない言葉だったので、ここに読む目が引っかかった。

「とは言え」は本文の中でとても良く使われている。それはもう目につくほど出てくる。だから気になった。

ところで、「私にとり」と「とは言え」をどうして両方使ったのだろう。

前者は文語体、つまり、書物でつかう表現だ。一方で、後者は「言え」の部分が感じになっている通り、話す時に使う表現だ。

 同じ語りがこれらの言葉を使うのに僕は違和感を感じる。たぶん、この違和感を著者は与えようとしていたんじゃないだろうか。「とは言え」とわざわざ漢字で書いているのが、そんな想像を僕にさせる。また、本文を読んでみると、これらが出てくる文は意味的に分けることができるのも、想像を冗長させる。

 この小説は笑えるところが結構ある。鼻につかないのがさらにいい。

 とにかく面白い。芥川賞の本ってだいたいつまらない、と言う人に読んで欲しい。

余談だけど、著者が年下だと知ってちょっと凹んだ。