羊田六色のブログ

羊田六色のブログ

フランソワ・ポンポン展

 名古屋市美術館の特別展「フランソワ・ポンポン展」を見に行ってきた。金曜日は遅くまで美術館が開いていることはあまり知られていない。そのため、鑑賞している人も少なく、ストレスなく見ることが出来た。

 主な展示物は彫刻で、ほんの少しスケッチと展覧会のポスターが展示してあった。その彫刻も、ごくごく初期の人物像こそあったが、殆どは動物彫刻だった。彼の作品はとにかく磨かれており、比喩ではなく光を反射して輝いている。そのため本来の動物なら身にまとっている毛の表現は完全になくなっている。つまり、完璧な動物の写しではない。しかし、その動物の動きを思い出させる形をしているため、本物よりもその動物らしく見えた。

 この展示会で僕が一番気に入った作品は「バイソン」だ。「バイソン」はそのタイトル通りウシ科のバイソンの彫刻だ。黒いブロンズの体がいかにも重そうだが、サイズは大きくなく両手で抱えるくらいだ。これも例のごとくピカピカに輝くほど磨き上げられている。そんな「バイソン」を僕が気に入ったわけは輝き方の濃淡が美しく見えたからだ。「バイソン」は頭の周りにシワが作られており、そこの輝き方が鈍い。僕にはその鈍さが硬さに見えた。実際のバイソンの頭の毛が硬いのかは知らないが、とにかく僕にはそう見えた。さらに言えば、そう見えたのが面白い。なぜなら、僕はバイソンにも「バイソン」にも触れていない。それなのに硬さを感じたからだ。

 僕は彼の作品を見ていると浮世絵の匂いを感じた。彼は20世紀初頭のフランスの彫刻家で、ジャポニスムブームを体験していただろうが、印象派の画家たちのように傾倒しているわけではないと思う。ただ動物をデフォルメし本物以上の美しさを表現しているところが、元を強調と省略してより美しい世界を描く浮世絵と似ている。

 ところで、ポンポンはフランスではメジャーな名前なんだろうか? たしかポムがりんごって意味だったから、それと関係があるのだろうか? なんにしても可愛らしい。ふらんそわぽんぽんVSきゃりーぱみゅぱみゅと書いても違和感がない。